数年前、ある中国人女性が北海道を一人で旅行中に、突然予定していなかった阿寒湖へ向かうことを決めた。しかし、阿寒湖に到着後、彼女は行方不明となり、警察の捜索の結果、阿寒湖から約八十キロ離れた釧路の桂恋海岸で遺体となって発見された。遺書が見つかり、自殺と判定されたが、阿寒湖から桂恋海岸までの「空白の時間」は、今なお解明されていない。
数年前のある日、目にしたニュース。それは、一人の中国人女性が北海道で自殺したという記事で、彼女の選択は渡辺淳一さんの小説「阿寒に果つ」に影響されたものだと書かれていました。この作品は、私がずっと好きな小説の一つでした。記事に出てきた「桂恋海岸」という場所にも強く興味を持ちました。いったいどのような場所なのか、人に人生の最期を選ばせるほどの場所とは。
その後、私は日本に留学し、学校の休みを利用し、北海道への旅に出ました。阿寒湖から桂恋海岸への道のりをたどりましたが、彼女がどのような経験を経て自殺という選択に至ったのかは、結局わかりませんでした。